草の響き

上映中

PG12

DCP

上映期間: 11月上旬まで(予定)

上映時間: 1時間56分


(C)2021 HAKODATE CINEMA IRIS

聴こえてくる―
静まらない心の震えが

『海炭市叙景』(10)
『そこのみにて光輝く』(14)
『オーバー・フェンス』(16)
『きみの鳥はうたえる』(18)
そして、『草の響き』—佐藤泰志の小説、五度目の映画化。

原作は、佐藤自身が自律神経失調症を患い、療法として始めたランニング経験をもとに書いた短編小説。1979年に発表されたこの物語を現代に置き換え、函館の街を黙々と走り続ける男と、その妻、そして路上で出会う若者たちの、それぞれの生の輝きを描き出す。

(C)2021 HAKODATE CINEMA IRIS

心に失調をきたし、妻とふたりで故郷函館に戻ってきた工藤和雄。病院の精神科を訪れた彼は医師に薦められるまま、治療のため街を走り始める。雨の日も、真夏の日も、ひたすら同じ道を走り、記録をつける。

「狂ったように走ってるの」
妻の純子が、和雄の友人・研二に言う。
「狂わないように走ってるんだよ」
和雄は応えるようにそう言って、その日もまた走りだす。

(C)2021 HAKODATE CINEMA IRIS

札幌から函館へ引っ越し、転校したばかりのため学校ではどこか孤立気味の高校生、彰。
中学時代にいじめに遭い、不登校になった経験があるという、弘斗。
市民プールで出会ったのをきっかけに、泳ぎが得意な弘斗は、カナヅチの彰に泳ぎを教える代わりに自分にスケボーを教えてほしいと頼む。大きな丸太を二人で運びながら、人工島「緑の島」の広場へ向かう。弘斗の姉・恵美も加わり、三人はこの広場でよく一緒に遊ぶようになる。

ある夏の夜、三人がいつものように広場に集い花火を楽しんでいると、ただひたすらに走っている和雄の姿に気がつく。彰と弘斗は、和雄の後を追いかけるように走り出す。弘斗はすぐに脱落してしまうが、彰は必死で和雄と並んで走り続けようとする。

特に言葉を交わすことなく、この日を境に、和雄・彰・弘斗は時々一緒に走るようになる—。

(C)2021 HAKODATE CINEMA IRIS

(C)2021 HAKODATE CINEMA IRIS

(C)2021 HAKODATE CINEMA IRIS

光あふれる函館の風景のなかで映像化したのは、『空の瞳とカタツムリ』(18)『なにもこわいことはない』(13)の斎藤久志監督。原作には無かった夫婦の物語として設定を膨らませた本作の脚本を執筆した加瀬仁美。『三月のライオン』(92)をはじめ、矢崎仁司監督と長年タッグを組んでいる石井勲の手がけた撮影。

美しい映像と繊細でやわらかな光の煌めきが、登場人物たちのそれぞれの想いと心の震えを一層と際立たせている。

(C)2021 HAKODATE CINEMA IRIS

静かで広い、函館のアスファルトの上を走るスケートボードの音。

何かを追い求めるように黙々と走り続ける男の姿。

死に引き寄せられながらも懸命に生きようとする人間の生の輝き。

どうしようもない孤独を抱えた人々の葛藤を、ていねいに、静かな気迫で捉えた本作。ぜひ、沢山の方に届きますように。


映画名

草の響き

上映期間

11月上旬まで(予定)

上映時間

1時間56分

公式サイト

www.kusanohibiki.com

配給

コピアポア・フィルム、函館シネマアイリス

製作年/製作国

2021年/日本