上映期間: 4月上旬まで(予定)
上映時間: 1時間48分

(C)2021 JUNE FILM All Rights Reserved.
映画を愛する
すべての人へ。
そして、
かつて輝きながら
消えていった
すべての者たちへ。
プールで休まずに泳ぎ切れたら、観客動員数は20万人を超える―。
そう祈りながら泳ぎ切ったものの3作目の『幽霊人間』の動員数は思わしくなく、脚本の修正を進めてはいるが投資家にも見放され、なかなか新作を撮る目処が立たない49歳の映画監督、ジワン。詩を愛する息子のボラムには「母さんの映画はつまらない」と言われ、事務所の代表からは工事のために荷物の整理を命じられてしまう。更年期のせいか汗にも悩まされ、正しい単語の活用がわからなくなることもある。夫とは生活費の振り込みなど、事務的な会話しかしない日々が続いていた。
そんななか、後輩から「ギャラは安いが意義のある仕事」だというアルバイトを紹介される。
それは、60年代に活動した女性監督、ホン・ジェウォンが残した映画『女判事』を映画資料室で上映したいが中盤から音が入っていないため、1000万ウォンで音入れをしてほしいという依頼だった。
同じ頃、ジワンが住むマンションの駐車場に停まっていた車の運転席で、練炭自殺した女性の遺体が発見される。
ジワンは隣の部屋から「私を出して」という声を耳にし、マンションのそばでは帽子をかぶった人の影を目にしていた。

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仕事を引き受けたジワンは、『女判事』は韓国初の女性判事が夫に毒を盛られた実話をもとにしているが、映画の結末は変更されていたことを知る。
ジワンが作業を進めるために監督の遺族である娘のもとを訪ねると、『女判事』の衣装が残された部屋で「母はシナリオに不満を持っていたが、10年も映画を撮っていなかったため、最後のチャンスだと思っていた」と教えてくれるのだった。
ジワンは借りてきた取材ノートに挟まれていた、裏側に“三羽ガラス 明洞茶房”と記された3人の女性が映った一枚の写真を見つける。
後日、発見されたシナリオを残された映像にあわせて確認していたジワンは、不自然にシーンが抜けていることに気づく。
編集でカットされたのか、もしくは検閲があったのか。かつて明洞茶房があったビルを訪ねたジワンは、映画の写真を撮っていたという老人と出会い、写真のなかの女性のひとりであり、ホン監督の作品で編集を担っていた女性、イ・オッキの連絡先を手に入れる。
ジワンは失われたフィルムの謎を追いかけ、忠清道に住むイ・オッキの元を訪ねるが・・・。

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この映画は『オマージュ』というタイトルの通り、映画と映画づくりへの尊敬や敬意に満ちあふれた作品。そして主人公が映画づくりという夢によって女性の先達たちと時を超えて手をつなぎ、連帯していく物語。
主人公のジワンを演じるのは『パラサイト 半地下の家族』の家政婦役をはじめ、『椿の花咲く頃』『私たちのブルース』など数々のドラマで幅広い役柄を演じ、忘れがたい印象を残しているイ・ジョンウン。
夫を演じるのは『あなたの顔の前に』などホン・サンス作品の常連としても知られるクォン・ヘヒョ。
詩を愛する息子役に『愛の不時着』の朝鮮人民軍の最年少兵士で注目を集め、主演ドラマ『ムーブ・トゥ・ヘブン:私は遺品整理士』『ラケット少年団』で人気を呼んだタン・ジュンサン。
かつて編集技師だった女性をベテラン俳優のイ・ジュシルが演じ、韓国映画、ドラマファンにお馴染みの幅広い世代の実力派俳優たちが集結している。
監督、プロデューサー、脚本は『虹』で第24回東京国際映画祭アジアの風部門にて最優秀アジア映画賞を受賞したシン・スウォン。
悩みながらも映画を撮ることを諦めないジワンに、監督自身が投影されている。

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隣の部屋から聞こえる奇妙な声
石垣に映った人の影
光が差し込む廃墟となった映画館
余韻を残す場面を織り込み、ユーモラスな会話をちりばめながら、映画と人生がわかちがたく結びついている本作。
ぜひ、新宿武蔵野館のスクリーンでじっくりとお楽しみくださいませ。
- 映画名
オマージュ
- 上映期間
4月上旬まで(予定)
- 上映時間
1時間48分
- 配給
アルバトロス・フィルム
- 製作年/製作国
2021年/韓国