上映期間: 【ご好評につき延長決定!】10月5日(木)まで
上映時間: 1時間33分

(C)JP Film Production, 2021
愛すべき家族との旅へようこそ
次世代監督が描くイラン社会の現実と夢
荒涼としたイランの大地を走る1台の車。
後部座席では足にギプスをつけた父が悪態をつきながら、旅に大はしゃぎする幼い次男の相手をしている。
助手席の母はカーステレオから流れる古い歌謡曲に体を揺らし、運転席では成人した長男が無言で前を見据えている。
次男が隠し持ってきた携帯電話を道端に置き去ったり、尾行に怯えたり、転倒した自転車レースの選手を乗せたり、余命わずかなペットの犬の世話をしたりしながら、一家はやがてトルコ国境近くの高原に到着する。
そこで父と母は羊飼いや仮面をつけた男と交渉し、長男は「旅人」として村人に迎えられる。
旅の目的を知らない次男が無邪気に騒ぐ中、我々はこの家族の行方を知ることになる・・・。

(C)JP Film Production, 2021

(C)JP Film Production, 2021
この一家に幸あれと願わずにはいられない!
イラン映画の巨匠ジャファル・パナヒの長男、パナー・パナヒの鮮烈な長編デビュー作!
『白い風船』(1995)『チャドルと生きる』(2000)『人生タクシー』(2015)他でカンヌ、ヴェネチア、ベルリンの三大映画祭を制覇した世界的巨匠であり、長年にわたるイラン政府との自由をめぐる闘争でも知られるジャファル・パナヒ。
その制作現場で経験を積んだ長男パナー・パナヒが2021年、満を持して長編デビュー作を発表し、カンヌを皮切りに世界各国96の映画祭を喝采の渦に巻き込んだ。
父ジャファルが製作として関わっている本作は、イランの荒野を車で移動する家族のロードムービー。
監督の家族や友人に起きた出来事から触発された物語は、驚くほどシンプルでありながらユーモアとペーソス、そしてサスペンスに富み、観客は一瞬たりとも目を離せない。

(C)JP Film Production, 2021

(C)JP Film Production, 2021

(C)JP Film Production, 2021
大人たちが口に出さないこの旅の目的が明らかになる時、私たちは深い感動に包まれる―。
自由や人権を求める国民の声を弾圧しているとして国際社会からたびたび非難されているイラン当局。
パナー・パナヒ監督も、その激しい弾圧の影響を受けた一人である。
父ジャファルは改革派を支援したことなどを理由に2010年に逮捕。
その後、20年間の表現活動と海外渡航を禁止されるも、タクシー運転手に扮しての車内撮影からUSBメモリの密輸まであらゆる手段を駆使して映画の制作と上映を実現させ、世界の映画人の尊敬と支持を集めてきた。
一方でパナー監督の周りには国内の状況に絶望し、さまざまな方法で国外に脱出した家族や同世代の友人もいるという。
現在30代の監督は父の闘いや仲間の苦しみをどのように見てきたのか?
旅立とうとする息子と国内に残る家族との最後の旅を描いた本作には、監督が実際に見聞きしたエピソードが反映されており、これからのイラン映画を担う作家としての人生観と覚悟が随所に感じられる。

(C)JP Film Production, 2021

(C)JP Film Production, 2021
もっとも本作の見どころは社会的背景に留まらない。
子どもの演技が魅力的なイラン映画は数多いが、撮影当時6歳の次男役、ラヤン・サルアクが放つ天真爛漫なエネルギーには、誰もが圧倒されること必至だ。
加えて両親役のベテラン、モハマド・ハッサン・マージュニとパンテア・パナヒハによる人間味あふれる演技、長男役の新人アミン・シミアルの憂いを帯びた佇まいも各国の観客や批評家から絶賛されており、フィラデルフィア映画祭では4人揃ってアンサンブルキャスト賞を受賞。
彼らが絶妙なテンポで見せる親子や夫婦のやりとりは、家族の関係は世界のどこにいても変わらないことを私たちに教えてくれる。

(C)JP Film Production, 2021

(C)JP Film Production, 2021
広大な砂漠や高原、狭い車内のコントラスト。
物語をノスタルジックに彩るイスラム革命以前の歌謡曲の数々。
現実を超越する詩的な演出。
観る者の胸を揺さぶってやまない仕掛けがいくつも施された本作。
デビュー作にして偉大な父の名前に引けを取らない珠玉の名作が、ついに日本の、新宿武蔵野館のスクリーンに登場でございます!!
- 映画名
君は行く先を知らない
- 上映期間
【ご好評につき延長決定!】10月5日(木)まで
- 上映時間
1時間33分
- 配給
フラッグ
- 製作年/製作国
2021年/イラン
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